「積徳行善」

積徳行善
  
  今年もお盆の時期がやってきました。
「お盆」は仏教用語の「盂蘭盆」の省略形として「盆」と呼ばれています。 盆とは文字どおり、霊に対する供物を置く容器を意味します。
 また、供物を供え祀られる精霊の呼称ともなり、盂蘭盆と混同されて習合したともいう説もあるようです。
現在でも精霊をボンサマと呼ぶ地域があります。
 
盆の起源は、1年に2度、初春と初秋の満月の日に祖先の霊が子孫のもとを訪れて交流する行事があり、初春のものが祖霊の年神として神格を強調されて正月の祭となり、初秋のものが盂蘭盆と習合して、仏教の行事として行なわれるようになったといわれています。
 
日本では8世紀ごろから、現在の「お盆」に当たる時期の夏に祖先供養を行うという風習が確立されたと考えられているようです。
 
 盆の時期は伝統的には、旧暦715日にお祝いが行われ、日本では明治611日から、次のような時期にお盆を行うことが多かったようです。
 
7月13~15日【七月盆】です。
8月は、本来旧暦(陰暦、太陰暦ともいう)では8月21~23日【旧盆】ですが、7月(新暦)の月遅れという考え方から、一般には8月13~15日【月遅れ盆】になります。
 
 
 
 
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   「陰徳を積む」  
 
人生を生きるうえでとても大切なことの一つに陰徳を積むという事があります。
このことを表す意味に「積徳行善」という言葉があります。
人知らず目に見えないところで人さまのお役に立つ善行を行い喜んでもらう。特に私たちは今与えられている「生命」に感謝の心を持たなければなりません。
 
 したがって、絶えず、神仏に感謝をすること、ご先祖様に感謝をすること、この事を忘れてはいけないのであります。
 自分が今生きているのは、神仏やご先祖さまのお陰であることに気付き、生かされていることに喜びを感じることはとても大切なことなのです。
 
 大人がこのような“陰徳を積む生き方”をしていれば、子孫もまた幸せな道を歩み始めます。
大切なことは目の前のことに目を奪われるのではなく、遠い将来を視野に入れて善き事を積み重ねていく姿勢であるということなのです。このことは日本文化の感性であるといってもよいと思います。
 
四国の金比羅宮の天井には木地蒔絵といっても木絵を生かした漆塗りの装飾が施されています。
金比羅宮の蒔絵は一般の人が参拝する拝殿と、神様にお供え物をする幣殿と、神様を祭る本殿にそれぞれに描かれています。
この木地蒔絵の図柄は、拝殿、幣殿、本殿と行くに従って非情に簡素になっているそうです。
それにもかかわらず技法が非情に高度になっており、本殿は宮司すらめったにはいらない場所であるにもかかわらず、そういう人目のつかないところに、簡素な図柄と高度な技術が使われているところに深い精神性が凝縮されているということなのです。
これは日本文化の神髄を象徴しているといってもいいでしょう。