『繁栄の法則とは』

『繁栄の法則とは』
 
弘法大師空海のことば
 
「物の興廃は必ず人による
人の昇沈は定めて道にあり」
 
 ある著名な経営者がバブルの最中に、380億円を投じて、志摩半島にホテルを建設したことがあります。
全室からは素晴しい太平洋の広大な絶景を見渡すことができ、内装は贅を尽くした設計を施したのでした。
宿泊した人たちは、皆、口々に「素晴しい」「素敵」と歓声を上げるくらいのゴージャスな素晴しいホテルでした。
しかし、バブルがはじけ、経営不振が続き、とうとう10年前にこのホテルは人手に渡ったのでした。
 
 さらには、新しい経営陣もなかなか、経営を軌道に乗せることができず、赤字は年を追うごとに嵩む一方でした。
そこで、目を付けたのが、仙台で小さなエステを経営していた今野華都子さんだったのです。
 そして、まもなく、今野さんはオーナーに請われてそのホテルの社長に就任したのでした。
当事、今野社長を迎えたのは、社員150名の冷たい視線と、反抗的な態度だったのです。
赤字を繰り返すこのホテルでは、これまでに何人もの社長が入れ替わっており、ホテルの従業員は「またか」という雰囲気だったのでした。
 
 
そこで、今野社長が始めたことは、

1.社員一人ひとりの名前を呼んで挨拶することでした。
2.社員全員と面接し、要望や不満を聞きことにしたのです。
 
それから数ヶ月たち、今野社長は社員全員を一堂に集めて次のように言いました.
 
「みんながここで働いているのは、私のためでもなく、会社のためでもない。大事なことは、“大切な人生の一瞬、一瞬の時間をこのホテルで生きる”と自分で決めたからだよね。
みんなが今思っている不満や要望は私や経営陣が解決するのではなく、実は自分たちが解決しなければならない問題です」
 
 
そして、今野社長は二つの課題を社員全員に考えさせたのです。
 
1・自分は人間としてどう生きたいのか
2.自分がどのように働けば素晴しい会社になるのか
 
ホテルが変わり始めたのはそれからでした。
これまでは、自分の担当以外の仕事は一切しないという姿勢でしたが、状況に応じて他部門の仕事を積極的に自発的に手伝うようになったのでした。
就任して2年にして、とうとう赤字続きだったこのホテルは経営利益が出るようになったのでした。
社員の会社に対する意識改革がこのホテルを蘇らせることになったのです。
 
今野さんが折りに触れて社員に伝えたという
「自分を育てる三つのプロセス」を紹介します。
 

1.いつでも、どこでも、どんなときでも笑顔
2.いつでも、どこでも、どんなときでも「はい」という肯定的な返事ができること
3.人の話は相手の見て、肯きながら聞くこと

 
 いやいやする仕事ではなく、本気になって、真剣になって仕事に取り組む姿勢ができてこそ、初めて能力が開発され、人間として成長できるのです。
 
仕事を頼まれたなら、すべて「はい」と受け入れて実行してみることです。
行動することなく、「できません」「無理です」では、折角、伸びようとしている能力や可能性の扉を閉じてしまうことになります。
さらに、仕事を教えてくれる人の話をしっかりと肯きなら聞くことは、自分を成長させる何よりの道なのです。
 
すべての繁栄は“人”から始まるのです。
ひとりの人間が自らの人生を、真剣に考え、本気で生きるとき、自らの発展繁栄させることになり、さらには、そのまま組織の繁栄にも繋がり、顧客満足度を高めることにもなるのです。
それが、如いては社会貢献にも結びつくということなのです。