『言葉の極み』がんばれ!日本!

   『 言霊の極み     
 
 プロ野球チーム「楽天」の監督だった野村克也氏が、90年に、ヤクルトの監督を就任したときのことです。
当時、なかなか勝つことが出来なかったヤクルトの監督に就任した野村監督は、前年まで監督であった関根氏のもとで、常に、選手にノートを取らせ、グランドでも狙い球の絞り方などを教えたり自由奔放な野球をやっていました。

このような中、野村監督はI.D野球を打ち出し、1年目5位。2年目3位。3年目の92年には、野村野球を浸透させることが出来、ついにリーグ制覇をすることが出来たのです。
野村野球はチームを三度、優勝に導き、そのうち二度はチームを日本一に導いたのでした。
 
当然のことながら、この強さは野村監督の「リーダーシップ」によるものと話題となり、
優勝に導いた野村野球は奥が深く、野村克也氏の洞察力が鋭いと、解説者や野球ファンから一目置かれる存在となったのでした。


野村監督が優勝した時のエピソードです。
あるアナウンサーが優勝の勝因をインタビューで聞きました。
「優勝の勝因は勿論、I.D野球ですよね。情報システム野球で膨大な情報を集め、それを分析してそれで優勝したんですよね」
 
これに対して野村さんはこのように答えました。
 
「何処のチームも大量のスコアラーを派遣して、膨大なデーターを取り、分析してますよ。肝心なことは、その試合に勝つためのポイントをその膨大なデーターから、これだという物を掴みだして、これとこれといって分かりやすく選手に伝えてやることですよ」
 
と答えています。
 
すなわち、いくら膨大な情報を持っていても、いかなる分析をしようとも、そのことは、ほんの入り口に過ぎないのだと言うことなのです。
 最後は我々の持つ直感力がものを言う。次の仕事において何がキーポイントになるかを掴むのは直感力、洞察力の世界になると言うことです。
 
「あのフォークは捨ててゆけ、最初に入ってくるスローカーブをねらえ」
 
まさにその一言がいえるのは、言霊の極みのような瞬間がある。
これはとても大切なことです。
 
  「2種類のコトバ」   
 
コトバには2種類あるといわれています。
 
一つ目は相手に対して自分の主張したいことを伝達する役目があります。
 
もう一つは、言霊で思わず口をついて出てくるコトバであって、その「コトバ」が聞いている人たちに共鳴を与え、やる気を与え、心を打ち、行動を促すコトバとなってでてくるというものです。
 
「我が業は我が為すにあらず神がこれをなさしめ給う」
 
仕事を効率化させるために、情報システムを取り入れれば、自分が楽になると考えるのは、全くの錯誤であって、その入力された膨大なデーターをもとに“リーダーとしての直感”が最も重要でものをいうのであり、その直感こそが、「これとこれ」といって指示が出せる最高の智慧なのであります。
そこから出た「言葉」こそが共感、共鳴を生み出し、部下の気持ちを励ますということになるのであります。
 
 今はサッカーのワールドカップでは、日本が決勝トーナメント進出を決めたことで日本中が沸いています。
 今後、決勝トーナメントを勝ち上がって行くためには、相手チームの情報は勿論のこと、監督をはじめ、各選手の「コトバ」の究極の直感力が日本チームを勝利に導いてくれるでしょう。
 がんばれ!日本!