自他一体の自覚が地球を救う

「自他一体の自覚で愛を行じ、世界に平和を」
 
 
平成四年の初公開以来、述べにして二四〇万人に鑑賞されてきた映画があります。『地球交響曲』です。映画『地球交響曲(ガイアシンフォニー)』とは、イギリスの生物物理学者ジェームズ・ラブロック博士の唱えるガイア理論、「地球はそれ自体がひとつの生命体である」という考え方に勇気づけられ、龍村仁監督によって制作されたオムニバスのドキュメンタリー映画で、美しい映像と音楽、珠玉のことばの数々によって織り成されるこの映画はロングランヒット作となっています。その地球交響曲・第一番』を飾ったのはハイポニカ発明者(水気耕栽培法)で知られる植物学者、野澤重雄氏です。ハイポニカとは、生き物の生育を阻害する要因を可能な限り排除し、生き物の力を最大限に発揮できる環境作りをした環境管理方法のマニュアル化させたものです。
 野沢氏は、たった一粒のごく普通のトマトの種から遺伝子操作も特殊な肥料も一切使わず一万三千個もの実のなるトマトの巨木を育て上げました。このハイポニカ栽培法の目的は、生物の中には「生命力」が実在するということを証明するとともに、今後の人口増加や土壌汚染などによる将来の食糧危機を解決する道を拓くことにもあったといわれています。また、栽培されたのはトマトだけではなく、1本の苗から三千三百本のキュウリの収穫、1本の苗から二百五十個のマスクメロンを実らせました。メロンはふつう1本の苗に1個しか実をつけないと言われていますので驚異な数だとお分かり頂けたと思います。それほど生物に潜在する生命力は、無限に生長・発展する可能性をもっていることが実証されたのでした。
 また、野澤氏は、「トマトは心を持っている。私は、そのトマトの心にたずね、トマトに教わりながら 、成長の手助けをしただけなんです。技術的には何の秘密もないし、難しい事もないんです。ある意味では誰にでもできます。結局一番大切なのは育てている人の心です。成長の初期段階でトマトに、いくらでも大きくなっていいんだという情報を与えてやりさえすれば、後はトマトが自分で判断します。トマトもを持っています」と語り、さらには、遺伝子の権威で知られる村上和雄筑波大学名誉教授との対談の中で次のように話しています。「神の生命は無限に循環して減ることのないエネルギーであり、自然界の営みだけが環境ではなく、心の環境が大きな意味をもつ。他者との人間関係においての心の持ち方そのものが人体にとっての重要な環境となる。つまり、心に蓄積された老廃物(心のほこり)が悪い影響を及ぼし、生命力を制限する原因となる。人間以外の動植物には自由な意識はないゆえに、心のほこりが蓄積することはないが、人間の場合、心の持ち方いかんが環境になってくるんですね。幸福であることも、健康であることも、全部心から出発しているんです。心の持ち方によって、この環境がいいと解釈すれば、それをいい環境としてとらえます。自然の生態系には普遍的な掟(ルール)があり、その自然法則とは何かを具体的に言えば、たすけあいですね。自分に都合のいいことは、人には悪いということですね。人のためになって喜ばれることです。相互扶助であり、共存共栄ですね。他人の犠牲において個人のみが栄えることは許されない」と答えています。
 即ち、天地一切のものは神において一体であり、すべてのものに心があり、お互いに、神の愛を表現し、仏の四無量心を行じ、お互いに生かし合い、与え合い、愛し合うことで地上に天国が実現します。
 かつて人は花や樹木や鳥たちと話ができた時代があったと言われています。古代の人たちは、自分の生命が宇宙の大生命と一つであることを直感で知っていました。太陽を敬い月を崇め、風にたずね、火に祈り、水に癒され、土と共に喜ぶ生活が自然にできていたといいます。ところが、最近の科学技術のめまぐるしい進歩と共に人は、いつしか「自然は自分たちのために利用し支配するもの、地球は自分たちのもの」と考えるようになりました。
その頃から、人は花や樹木や鳥たちと話す言葉も忘れはじめました。人類はこのまま自然と調和することを忘れ、自然と対話することも忘れ続け、自然破壊に突き進むのでしょうか。それとも科学の進歩と共に、自然とも調和しながら、再び、その言葉を思い出すことができるのでしょうか。
生長の家では「神・自然・人間の大調和」の実現のために、現在、“自然と共に伸びる”
運動を進めていますが、生長の家の「大調和の神示」には、次のように説かれています。  
「汝ら天地一切のものと和解せよ。…(中略)…天地の万物に感謝せよ。その感謝の念の中にこそ汝はわが姿を見、わが救いを受けるであろう。われは全ての総てであるからすべてと和解したものの中にのみわれはいる。…(中略)…われを招ばんとすれば天地すべてのものと和解してわれを招べ。われは愛であるから、汝が天地すべてのものと和解したとき其処にわれは顕れる。」 
 この神示にある「すべて」という言葉は、人類だけを指すものではなく、「天地すべてのもの」を意味します。山も川も草も木も動物も菌類も鉱物などもすべてと和解し、調和することによってのみ、神は姿は現れ、私たちの内部の神性・仏性が輝き出され、自然とすべての人の行いが正しくなり、自然との大調和が実現し、再び、花や樹木や鳥たちとも会話することができるようになり、地球は救われ、人類は進歩し、世界に平和が実現するということになるのです。